―まずはお二人の出会いからお願いします。

前田: バンドとしてのデビューライブで、塁君のイベントに出させてもらったのがきっかけです。2010年のサウンドシューターという塁君のイベントの 5 周年を祝うスタジオコーストでのイベントだったんですが錚々たるメンツが揃っている中、トップバッターを務めさせてもらいました。塁君の厚意というよりは、単に面白がって出してくれただけだと思いますが(笑)。塁君との関係はその時から始まりましたね。それ以来写真なんかも毎年のように撮ってもらっています。

―お二人がサウナに目覚めたきっかけを教えてください。

前田: 2016年頃のことなんですけど、以前から関わりのあった高橋賢人という映像監督に、サウナへ一緒に行ってみないかと誘われたんです。彼がサウナと銭湯の話になると、どうも様子がおかしくなるなということは前々から気がかりだったので、どんなところなんだろうという興味はありました。そこで連れて行ってもらったのが、聖地である静岡の「しきじ」です。その時はバンドメンバーと監督とで訪れたんですけど、今や僕も含めバンドメンバー全員が、サウナ無しでは生きられない体になってしまいました(笑)。

橋本: 僕がサウナにどっぷりハマることになったのも、同じくらいの時期です。その時は写真展の都合で新潟まで出かけていたんですけど、写真展でステンシルのイベントを手がけてもらっていた、デザイナーの守矢努さんに「サウナとか行ったことある?気持ちいいしリラックスできるよ」と猛プッシュを受けたんです。その時にスタッフも含め、初めて連れて行っていただいたのが、新潟の「さか井湯」でした。そこで守矢さんから直々にに温冷浴のやり方を手取り足取り教えてもらったんですけど、サウナから帰ってきた翌日の目覚めの良さが格段に違っていて、メンタルが明らかに整っている感じもしたので、これはすごいぞと。感覚的にはランニングに似てるなって感じですね。元々ランニングはずっと続けていて、しっかり走り込んだ後に銭湯でリラックスするっていう、動と静を繰り返して整う気持ちよさが好きだったんです。サウナはそんな1セットに近い感覚を味わえるのがいいですね。

前田: 初めてしきじに連れて行ってもらった時、僕はその「整う」感覚があんまりわからなかったんですよ。なんとなく「これは、もしかしたら良いのでは…?」くらいのものだったんですけど、でもあの時の感覚が忘れられないというか、どうにも身体がウズウズしてきて、東京に帰ってからも都内のサウナに何度か出かけたんです。「整う」感覚がつかめたのは、三回ほど通った後のことでしたね。塁君がすぐサウナの良さに気づけたのも、何か「サウナ勘」みたいな素質があったからなのかも(笑)。僕がサウナを勧められた時に知り合いから言われたのは、「サウナは30代からのブーストだ」っていう言葉です。初めてサウナに連れて行ってもらった時は、僕もまだ20代だったので、「ハマれるかな~」っていう不安は少しありましたね。最近では僕らよりも若い人たちがサウナに足繁く通っているという話も聞きますが、彼らが30代になったら、一段と楽しめるようになるかもしれません。

―お二人が一緒にサウナへ出かけることもあるのでしょうか。

前田: お互いのサウナ好きを認識したのは、僕が4,5年前に開催した「サウナイト」というトークイベントの時ですね。塁君もそこへ聴きに来てくれていて、それ以来「サウナ一緒に行こうよ」と声をかけてくれるようになったと思います。一緒に出かけて印象的だったのは、新潟のライブ終わりに行った「金の湯」という町銭湯です。本当はライブ後に即帰宅の予定だったんですが、延泊しようという話になり、そこで塁君に連れて行ってもらったのが「金の湯」でした。露天風呂と水風呂があって、死ぬほど湿度の高いサウナが完備されてて、あそこが連れて行ってもらった中では最高でしたね。

橋本: 新潟は結構スチームサウナの文化が根強いらしいんですよね。僕は元々ドライサウナが好きなタイプなんですけど、「金の湯」のサウナは「しきじ」の薬草サウナに近い感じがあって、「ここにいると死んじゃうんじゃないか」っていうギリギリのやばさがクセになりました。東京近郊だと、埼玉にある「サウナひろい」は二人でよく行くスポットの一つですね。

―お二人の入浴タイムテーブルについて、教えてください。

前田: 僕はあまり細かく時間を決めている方ではなくて、体のコンディションと相談しながら楽しんでいます。1 回目は大体足の裏あたりが熱を持ち始めてきたなってところまでを基準にして、足が地面についた時の冷たさが無くなるまで入るようにしてます。これくらいしっかり先に入っていると、2回目、3 回目は 1 回目よりも短くなることがほとんどで、どれくらい汗が出てるかという、体の変化に合わせて調節しています。水風呂も時間は気にせず、その時一番気持ちが良いタイミングで出ていくタイプです。塁君と一緒に通い始めて変わったことは、休憩の時間が短くなってるところですね。元々セット毎の休憩が塁君は短い人なので、彼ほどでは無いものの、それに合わせるようになってきています。東京とかだと、最後は車に乗りながら夜風を楽しんでいます。帰路のドライブ外気浴に勝るものはないですね。

橋本: 僕の場合はサウナを6~8分、水風呂が1~2分を1セットとしています。それを休憩なしで3セット繰り返すので、かなりのハイペースなんじゃないでしょうか(笑)。矢継ぎ早の3セットを終えてから、10~15分くらいの長めの休憩を挟んでますね。浴場で休憩することはなくて、体を拭いて脱衣所か、休憩室で休むようにしています。休憩を終えて、4セット目に突入した時のサウナは、体もサラサラになっている状態で挑めるので、一番好きな時間ですね。最終的には6セットまでやるんですが、4セット目以降は休憩前の半分くらいの時間で入るようにしています。6セット終えた後は休憩時間を設けず、そのまま外へ出て外気浴を楽しむルーティンです。サウナを終えて、夜風を楽しんだりご飯を食べたりという時間を過ごすことで整うというか、脱力の向こう側へ行ける感じがします。

前田: 季節によって、ルーティンが変わることもありますね、僕の場合、冬場は水風呂の時間を短めにして、そのまま外気浴ドライブに移行しています。冬の冷たい外気にさらされることで、水風呂に入った時みたいな整い方が得られて、気持ちがいいんです。体の整え方にそこまでのこだわりはなくて、その時の環境に合わせた楽しみ方というか、あんまり「こうでなきゃダメだ!」という固定観念に囚われすぎない方が良い気はしています。

―矢継ぎ早の3セット、中々真似できる人は少ないんじゃないでしょうか。

橋本: いや、実はロック界隈の人をサウナに連れていく時、このやり方をすすめると案外ハマってくれます。これは持論なんですけど、ロックの人はのんびりするのが苦手というか、ハードでスピーディな体験に飢えている傾向が強いので、じっくりとサウナを楽しむチル系よりも、僕の入り方の方が相性が良いみたいです(笑)。音楽性の違いが、サウナの楽しみ方にも影響しているかもしれません。

―日本各地でお気に入りのサウナスポットはありますか。

前田: チェーンの行きつけとなると、大阪と京都の「カンデオ」ですね。大阪でライブがある時も、わざわざ京都の「カンデオ」に前日宿泊して、翌日大阪のライブに臨んでいます (笑)。最近の大阪は短縮営業の所が多かったので、中々入りにくかったというのと、僕が好きだった「ニュージャパン スパプラザ」が閉店してしまったので、大阪でのサウナ熱が少し冷めていたのもありました。そんな時に京都のサウナ事情に目移りして、そこから足繁く通うようになりましたね。

橋本: さっき話していた「サウナひろい」は本当におすすめしたい所です。名古屋だと「永楽湯」というところも気に入っています。よく写真展を開いているところの近くにある、こじんまりとした銭湯で、年季が入っているのですが、いつも清潔感があって通いやすいです。サウナ室は脱衣所の横にあるっていう不思議な動線なんですけど、案の定使っている人は見かけたことがないです(笑)。大阪で最近発見したのが、「清滝温泉」です。言って良いのか迷うところですが、ここは本当のおすすめスポットです。福岡は銭湯があまり無い中、「ヘルスイン長尾湯」が憩いの場になってます。札幌の円山温泉も欠かせないです。

前田: やっぱり埼玉の「サウナひろい」は絶対外せない所ですし、名古屋の「ウェルビー栄」も王道です。横浜の「スカイスパ YOKOHAMA」なんかは一時期、週8で通ってましたね。大阪の「八尾グランドホテル」は、ベタですが評判通りの良さがありますね。湘南乃風の若旦那さんが通っているっていう話を聞く前にチェックはしてたんですが、しれっと行ってみるとめちゃくちゃいい所でした(笑)。あそこはサウナに入らずとも楽しめるのが大きいですね。福岡だとつい「ウェルビー福岡」に足を運びたくなりますが、僕がすすめたいのは「新宮温泉 ふくの湯」です。スーパー銭湯とは思えないクオリティで、大満足できるスポットです。北海道の白銀荘も、とてもいい所です。

一癖も二癖もある、全国入浴ローカルルール

―日本全国の銭湯を巡ってきた中で、印象的なご当地ルールはありましたか。

橋本: 体を洗うタイミングですかね。大阪の人は体を洗う前に湯船に浸かる人が多くて、東京だと体を洗ってから湯船に向かうイメージがあります。

前田: 最初にサウナを教えてもらった時、いわゆる「大阪スタイル」だったんですよね。まずはサウナに飛び込んで、体がカラカラの状態になってから汚れを取るのが当たり前だと思っていました。東京では周りの人がみんな体を洗ってからサウナに入っていたので、ルールにも地域性が出るんだなぁと感じましたね。

橋本: 北海道の「ニコーリフレ」へ行った時、背中でロウリュを受けたのは印象的でした。手を後ろに組んで頭皮を守るポーズは、見る側からすればインパクトがありますが、理にかなっているなと思って。それからは別のサウナでもニコーリフレ式で受けるようにしていて、僕と同じ受け方をしている人を見ると、「お、あんたもニコーリフレに行ったか」と仲間意識が芽生えるようになりました(笑)。

橋本: 「サウナ ひろい」は、水風呂に入る時の周りの雄叫びがすごくて。快楽に素直な人が多いのか、フェスの如く思い思いに叫んでいる様子が印象的です。脱衣所で一杯やりながら、オートレースを眺めている日常風景も粋ですね。

―お二人のメガネ歴はどのくらいになりますか。

前田: 僕は小学生の頃から着用しているので、もう25年くらいになりますね。実は浴場でもメガネをかけることは多くて、銭湯に行った時はまずメガネをかけて浴場を一周して、ロケハンをするのが習慣なんです(笑)。みんなが体を洗っている間、水風呂やサウナの位置を確認して、オッケーとなったらメガネを置いて、ようやく入浴を開始しています。なので、周りの人たちよりもワンテンポ遅れて銭湯を楽しむのが日常でした。普段使っているメガネはヴィンテージのモデルなんですけど、寿命が近づいているのであんまり無理はさせられず、かけっぱなしの入浴はNGですね。「AIGAN FOR ゆ」は浴場でも着用できるということで、そんな厄介なルーティンを打破するために生まれてきたようなメガネだと勝手に思っています(笑)。

橋本: 僕もメガネ歴は長くて、高校生の頃からかけているので、かれこれ20年の付き合いになります。カメラの仕事をするようになってから逆光の時のメガネが辛くなり、色の薄い度入りのサングラスを使うようになりました。日常的にサングラスを着用しているので、メガネはかけていないイメージを持たれがちなんですが、実はずっとメガネを着けて生活しているんです。入浴の時こそメガネは外していましたが、とにかく指という指をぶつけてしまったり、サウナのアツアツのネジでやけどしてしまったりと、ロクな目にあってません。TVも全く見えないし、何分経ったかもわからないので、浴場でできることは限られていましたね。逆にメガネを取るときはもう寝る時くらいなので、メガネを外すと眠たくなってしまいます(笑)。「AIGAN FOR ゆ」と出会ったのは、僕が展開しているアパレルブランド「STINGRAY」の打ち合わせをサウナでやってて、メンバーのTA-1がそれを着用していた時でした。見慣れない透明のフレームのメガネを、銭湯の中でかけていたので「何それ!?」と聞いてみたところ、それが初期のモデルの「AIGAN FOR ゆ」だったんです。当時のデザインはかなりシャープで、医療現場の人が着用しているような奇抜な印象を受けたんですが、実際にかけてみるととにかく快適だったので、僕も愛用するようになりました。

銭湯にはこれ一本で。「ヘビー湯ーザー」も大満足の完成度

―生まれ変わった「AIGAN FOR ゆ」。使い心地はいかがですか。

橋本: 最高ですね。お風呂に行くときはもうこれしか持って行かないって感じです。僕は結構、特に地方とか地域密着型の銭湯に行くときは、できるだけお店にお金を落としたい、そのお店の提供するものを存分に味わいたいっていう気持ちが強くて、お店にあるものをレンタルしたり、買ったりすることが多いんです。タオルなんかはもちろん、どこで仕入れたのか分からないようなシャンプーでガシガシ洗って、意味もなく髪をゴワゴワにしたくなるタイプなので、元々手荷物は少ないんですよね。ただ、そんな手ぶらで銭湯を楽しむ派だった僕も、「AIGAN FOR ゆ」だけは手放せなくなりました。何より、かけ心地が軽やかで、何も身につけていないような感覚でずっと着用できるのが嬉しいですね。ロッカールームの鍵すら手放したい手ぶら人間の僕でも、意識せずにかけていられます。

前田: 「AIGAN FOR ゆ」に触れたのは、実は今日が初めてだったんですが、僕にとっては革命的な体験でした。目が見える状態でお風呂に入る感覚は、こんな感じなのかと。目が良い人やコンタクトをつけている人は、こんな感じで入浴を楽しんでいたのかと(笑)。メガネをかけてお風呂に入ることもできたんですが、曇っては洗い、曇っては洗いを繰り返す必要があったので、それだったらメガネ無しでいいやと諦めてたんです。「AIGAN FOR ゆ」を初めて使わせてもらって、そんな不自由からも解放されたので、これでしか成し得ない体験をさせてもらったなと大満足しています。あと、女の子が使うのにちょうど良さそうだなと思いました。周りの話を聞いていると、女の子の方が周りをよく見ながら入浴したい、メガネやコンタクトを外したいという声が多いので、彼女たちにもおすすめしたいところです。

ー何かと遠征の多いお二人でも、肌身離さず使っていただけそうで嬉しい限りです。

前田: 旅先で手放したくないのはもちろんですし、普段使いにも最適ですね。なんだかんだで週5,6日は銭湯に出かけているので、カバンに必ず忍ばせておきたい一品です。

橋本: 透明のフレームも使いやすくていいですし、今後は黒とか、カラーバリエーションが豊富になってくると嬉しいですね。値段もリーズナブルなので、複数持ちで用途や気分に合わせて使い分けたいところです。雨の日のランニングに使うのなんかにも良さそうですね。あ、お風呂意外は使っちゃダメなんですよね??(笑)

PROFILE
橋本 塁 はしもと るい(写真 : 左)
1976年北海道生まれ。24 歳の時ジーンズのパタンナーから突如カメラマンに転身。雑誌『ollie magazine』の社員カメラマンを経て2005年にフリーランスに。ストレイテナー、FOMARE、ONE OK ROCK、THE BAWDIES、androp 等、様々なアーティストのオフィシャルライブ、アー写等を担当。ROCK IN JAPAN Fesオフィシャルカメラマン。2006年より写真展&ライブイベント『SOUND SHOOTER』を主催。2010年からドットをコンセプトとしたブランド『STINGRAY』を立ち上げた。

前田 恭介 まえだ きょうすけ(写真 : 右)
内澤崇仁を中心に結成された4人組ロックバンド、andropのベーシスト。2009年2月に1stアルバム『anew』でデビュー。数々の映画やドラマ主題歌、CMソングを手掛けるなど楽曲の注目度は高く、ミュージック・ビデオもカンヌ国際広告祭 (フランス)、One Show(アメリカ)、Webby Awards(アメリカ)ほか国内外11のアワードで受賞するなど、その映像世界やアートワークでも 世界的な評価を得ている。映像・音響・照明が三位一体となったスペクタクルなステージ・パフォーマンスも大きな注目を集めているほか、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」「RISING SUN ROCK FESTIVAL」等、大型フェスへの参加も多い。 数々のタイアップや楽曲提供、プロデュースなども行い、そして2019年にはデビュー10周年を迎える。2021年に「Beautiful Beautiful」「Lonely」「Moonlight」と立て続けにデジタルシングルをリリースし、11月3日に新曲「「Know How」をリリースし、12月22日に約3年9ヶ月ぶりとなる6thフルアルバム「effector」をリリースする。

HP : https://www.androp.jp/
Twitter:@androp_official
Instagram : @androp_official

―まずはお二人の出会いからお願いします。

前田: バンドとしてのデビューライブで、塁君のイベントに出させてもらったのがきっかけです。2010年のサウンドシューターという塁君のイベントの 5 周年を祝うスタジオコーストでのイベントだったんですが錚々たるメンツが揃っている中、トップバッターを務めさせてもらいました。塁君の厚意というよりは、単に面白がって出してくれただけだと思いますが(笑)。塁君との関係はその時から始まりましたね。それ以来写真なんかも毎年のように撮ってもらっています。

―お二人がサウナに目覚めたきっかけを教えてください。

前田: 2016年頃のことなんですけど、以前から関わりのあった高橋賢人という映像監督に、サウナへ一緒に行ってみないかと誘われたんです。彼がサウナと銭湯の話になると、どうも様子がおかしくなるなということは前々から気がかりだったので、どんなところなんだろうという興味はありました。そこで連れて行ってもらったのが、聖地である静岡の「しきじ」です。その時はバンドメンバーと監督とで訪れたんですけど、今や僕も含めバンドメンバー全員が、サウナ無しでは生きられない体になってしまいました(笑)。

橋本: 僕がサウナにどっぷりハマることになったのも、同じくらいの時期です。その時は写真展の都合で新潟まで出かけていたんですけど、写真展でステンシルのイベントを手がけてもらっていた、デザイナーの守矢努さんに「サウナとか行ったことある?気持ちいいしリラックスできるよ」と猛プッシュを受けたんです。その時にスタッフも含め、初めて連れて行っていただいたのが、新潟の「さか井湯」でした。そこで守矢さんから直々にに温冷浴のやり方を手取り足取り教えてもらったんですけど、サウナから帰ってきた翌日の目覚めの良さが格段に違っていて、メンタルが明らかに整っている感じもしたので、これはすごいぞと。感覚的にはランニングに似てるなって感じですね。元々ランニングはずっと続けていて、しっかり走り込んだ後に銭湯でリラックスするっていう、動と静を繰り返して整う気持ちよさが好きだったんです。サウナはそんな1セットに近い感覚を味わえるのがいいですね。

前田: 初めてしきじに連れて行ってもらった時、僕はその「整う」感覚があんまりわからなかったんですよ。なんとなく「これは、もしかしたら良いのでは…?」くらいのものだったんですけど、でもあの時の感覚が忘れられないというか、どうにも身体がウズウズしてきて、東京に帰ってからも都内のサウナに何度か出かけたんです。「整う」感覚がつかめたのは、三回ほど通った後のことでしたね。塁君がすぐサウナの良さに気づけたのも、何か「サウナ勘」みたいな素質があったからなのかも(笑)。僕がサウナを勧められた時に知り合いから言われたのは、「サウナは30代からのブーストだ」っていう言葉です。初めてサウナに連れて行ってもらった時は、僕もまだ20代だったので、「ハマれるかな~」っていう不安は少しありましたね。最近では僕らよりも若い人たちがサウナに足繁く通っているという話も聞きますが、彼らが30代になったら、一段と楽しめるようになるかもしれません。

―お二人が一緒にサウナへ出かけることもあるのでしょうか。

前田: お互いのサウナ好きを認識したのは、僕が4,5年前に開催した「サウナイト」というトークイベントの時ですね。塁君もそこへ聴きに来てくれていて、それ以来「サウナ一緒に行こうよ」と声をかけてくれるようになったと思います。一緒に出かけて印象的だったのは、新潟のライブ終わりに行った「金の湯」という町銭湯です。本当はライブ後に即帰宅の予定だったんですが、延泊しようという話になり、そこで塁君に連れて行ってもらったのが「金の湯」でした。露天風呂と水風呂があって、死ぬほど湿度の高いサウナが完備されてて、あそこが連れて行ってもらった中では最高でしたね。

橋本: 新潟は結構スチームサウナの文化が根強いらしいんですよね。僕は元々ドライサウナが好きなタイプなんですけど、「金の湯」のサウナは「しきじ」の薬草サウナに近い感じがあって、「ここにいると死んじゃうんじゃないか」っていうギリギリのやばさがクセになりました。東京近郊だと、埼玉にある「サウナひろい」は二人でよく行くスポットの一つですね。

―お二人の入浴タイムテーブルについて、教えてください。

前田: 僕はあまり細かく時間を決めている方ではなくて、体のコンディションと相談しながら楽しんでいます。1 回目は大体足の裏あたりが熱を持ち始めてきたなってところまでを基準にして、足が地面についた時の冷たさが無くなるまで入るようにしてます。これくらいしっかり先に入っていると、2回目、3 回目は 1 回目よりも短くなることがほとんどで、どれくらい汗が出てるかという、体の変化に合わせて調節しています。水風呂も時間は気にせず、その時一番気持ちが良いタイミングで出ていくタイプです。塁君と一緒に通い始めて変わったことは、休憩の時間が短くなってるところですね。元々セット毎の休憩が塁君は短い人なので、彼ほどでは無いものの、それに合わせるようになってきています。東京とかだと、最後は車に乗りながら夜風を楽しんでいます。帰路のドライブ外気浴に勝るものはないですね。

橋本: 僕の場合はサウナを6~8分、水風呂が1~2分を1セットとしています。それを休憩なしで3セット繰り返すので、かなりのハイペースなんじゃないでしょうか(笑)。矢継ぎ早の3セットを終えてから、10~15分くらいの長めの休憩を挟んでますね。浴場で休憩することはなくて、体を拭いて脱衣所か、休憩室で休むようにしています。休憩を終えて、4セット目に突入した時のサウナは、体もサラサラになっている状態で挑めるので、一番好きな時間ですね。最終的には6セットまでやるんですが、4セット目以降は休憩前の半分くらいの時間で入るようにしています。6セット終えた後は休憩時間を設けず、そのまま外へ出て外気浴を楽しむルーティンです。サウナを終えて、夜風を楽しんだりご飯を食べたりという時間を過ごすことで整うというか、脱力の向こう側へ行ける感じがします。

前田: 季節によって、ルーティンが変わることもありますね、僕の場合、冬場は水風呂の時間を短めにして、そのまま外気浴ドライブに移行しています。冬の冷たい外気にさらされることで、水風呂に入った時みたいな整い方が得られて、気持ちがいいんです。体の整え方にそこまでのこだわりはなくて、その時の環境に合わせた楽しみ方というか、あんまり「こうでなきゃダメだ!」という固定観念に囚われすぎない方が良い気はしています。

―矢継ぎ早の3セット、中々真似できる人は少ないんじゃないでしょうか。

橋本: いや、実はロック界隈の人をサウナに連れていく時、このやり方をすすめると案外ハマってくれます。これは持論なんですけど、ロックの人はのんびりするのが苦手というか、ハードでスピーディな体験に飢えている傾向が強いので、じっくりとサウナを楽しむチル系よりも、僕の入り方の方が相性が良いみたいです(笑)。音楽性の違いが、サウナの楽しみ方にも影響しているかもしれません。

―日本各地でお気に入りのサウナスポットはありますか。

前田: チェーンの行きつけとなると、大阪と京都の「カンデオ」ですね。大阪でライブがある時も、わざわざ京都の「カンデオ」に前日宿泊して、翌日大阪のライブに臨んでいます (笑)。最近の大阪は短縮営業の所が多かったので、中々入りにくかったというのと、僕が好きだった「ニュージャパン スパプラザ」が閉店してしまったので、大阪でのサウナ熱が少し冷めていたのもありました。そんな時に京都のサウナ事情に目移りして、そこから足繁く通うようになりましたね。

橋本: さっき話していた「サウナひろい」は本当におすすめしたい所です。名古屋だと「永楽湯」というところも気に入っています。よく写真展を開いているところの近くにある、こじんまりとした銭湯で、年季が入っているのですが、いつも清潔感があって通いやすいです。サウナ室は脱衣所の横にあるっていう不思議な動線なんですけど、案の定使っている人は見かけたことがないです(笑)。大阪で最近発見したのが、「清滝温泉」です。言って良いのか迷うところですが、ここは本当のおすすめスポットです。福岡は銭湯があまり無い中、「ヘルスイン長尾湯」が憩いの場になってます。札幌の円山温泉も欠かせないです。

前田: やっぱり埼玉の「サウナひろい」は絶対外せない所ですし、名古屋の「ウェルビー栄」も王道です。横浜の「スカイスパ YOKOHAMA」なんかは一時期、週8で通ってましたね。大阪の「八尾グランドホテル」は、ベタですが評判通りの良さがありますね。湘南乃風の若旦那さんが通っているっていう話を聞く前にチェックはしてたんですが、しれっと行ってみるとめちゃくちゃいい所でした(笑)。あそこはサウナに入らずとも楽しめるのが大きいですね。福岡だとつい「ウェルビー福岡」に足を運びたくなりますが、僕がすすめたいのは「新宮温泉 ふくの湯」です。スーパー銭湯とは思えないクオリティで、大満足できるスポットです。北海道の白銀荘も、とてもいい所です。

一癖も二癖もある、全国入浴ローカルルール

―日本全国の銭湯を巡ってきた中で、印象的なご当地ルールはありましたか。

橋本: 体を洗うタイミングですかね。大阪の人は体を洗う前に湯船に浸かる人が多くて、東京だと体を洗ってから湯船に向かうイメージがあります。

前田: 最初にサウナを教えてもらった時、いわゆる「大阪スタイル」だったんですよね。まずはサウナに飛び込んで、体がカラカラの状態になってから汚れを取るのが当たり前だと思っていました。東京では周りの人がみんな体を洗ってからサウナに入っていたので、ルールにも地域性が出るんだなぁと感じましたね。

橋本: 北海道の「ニコーリフレ」へ行った時、背中でロウリュを受けたのは印象的でした。手を後ろに組んで頭皮を守るポーズは、見る側からすればインパクトがありますが、理にかなっているなと思って。それからは別のサウナでもニコーリフレ式で受けるようにしていて、僕と同じ受け方をしている人を見ると、「お、あんたもニコーリフレに行ったか」と仲間意識が芽生えるようになりました(笑)。

橋本: 「サウナ ひろい」は、水風呂に入る時の周りの雄叫びがすごくて。快楽に素直な人が多いのか、フェスの如く思い思いに叫んでいる様子が印象的です。脱衣所で一杯やりながら、オートレースを眺めている日常風景も粋ですね。

―お二人のメガネ歴はどのくらいになりますか。

前田: 僕は小学生の頃から着用しているので、もう25年くらいになりますね。実は浴場でもメガネをかけることは多くて、銭湯に行った時はまずメガネをかけて浴場を一周して、ロケハンをするのが習慣なんです(笑)。みんなが体を洗っている間、水風呂やサウナの位置を確認して、オッケーとなったらメガネを置いて、ようやく入浴を開始しています。なので、周りの人たちよりもワンテンポ遅れて銭湯を楽しむのが日常でした。普段使っているメガネはヴィンテージのモデルなんですけど、寿命が近づいているのであんまり無理はさせられず、かけっぱなしの入浴はNGですね。「AIGAN FOR ゆ」は浴場でも着用できるということで、そんな厄介なルーティンを打破するために生まれてきたようなメガネだと勝手に思っています(笑)。

橋本: 僕もメガネ歴は長くて、高校生の頃からかけているので、かれこれ20年の付き合いになります。カメラの仕事をするようになってから逆光の時のメガネが辛くなり、色の薄い度入りのサングラスを使うようになりました。日常的にサングラスを着用しているので、メガネはかけていないイメージを持たれがちなんですが、実はずっとメガネを着けて生活しているんです。入浴の時こそメガネは外していましたが、とにかく指という指をぶつけてしまったり、サウナのアツアツのネジでやけどしてしまったりと、ロクな目にあってません。TVも全く見えないし、何分経ったかもわからないので、浴場でできることは限られていましたね。逆にメガネを取るときはもう寝る時くらいなので、メガネを外すと眠たくなってしまいます(笑)。「AIGAN FOR ゆ」と出会ったのは、僕が展開しているアパレルブランド「STINGRAY」の打ち合わせをサウナでやってて、メンバーのTA-1がそれを着用していた時でした。見慣れない透明のフレームのメガネを、銭湯の中でかけていたので「何それ!?」と聞いてみたところ、それが初期のモデルの「AIGAN FOR ゆ」だったんです。当時のデザインはかなりシャープで、医療現場の人が着用しているような奇抜な印象を受けたんですが、実際にかけてみるととにかく快適だったので、僕も愛用するようになりました。

銭湯にはこれ一本で。「ヘビー湯ーザー」も大満足の完成度

―生まれ変わった「AIGAN FOR ゆ」。使い心地はいかがですか。

橋本: 最高ですね。お風呂に行くときはもうこれしか持って行かないって感じです。僕は結構、特に地方とか地域密着型の銭湯に行くときは、できるだけお店にお金を落としたい、そのお店の提供するものを存分に味わいたいっていう気持ちが強くて、お店にあるものをレンタルしたり、買ったりすることが多いんです。タオルなんかはもちろん、どこで仕入れたのか分からないようなシャンプーでガシガシ洗って、意味もなく髪をゴワゴワにしたくなるタイプなので、元々手荷物は少ないんですよね。ただ、そんな手ぶらで銭湯を楽しむ派だった僕も、「AIGAN FOR ゆ」だけは手放せなくなりました。何より、かけ心地が軽やかで、何も身につけていないような感覚でずっと着用できるのが嬉しいですね。ロッカールームの鍵すら手放したい手ぶら人間の僕でも、意識せずにかけていられます。

前田: 「AIGAN FOR ゆ」に触れたのは、実は今日が初めてだったんですが、僕にとっては革命的な体験でした。目が見える状態でお風呂に入る感覚は、こんな感じなのかと。目が良い人やコンタクトをつけている人は、こんな感じで入浴を楽しんでいたのかと(笑)。メガネをかけてお風呂に入ることもできたんですが、曇っては洗い、曇っては洗いを繰り返す必要があったので、それだったらメガネ無しでいいやと諦めてたんです。「AIGAN FOR ゆ」を初めて使わせてもらって、そんな不自由からも解放されたので、これでしか成し得ない体験をさせてもらったなと大満足しています。あと、女の子が使うのにちょうど良さそうだなと思いました。周りの話を聞いていると、女の子の方が周りをよく見ながら入浴したい、メガネやコンタクトを外したいという声が多いので、彼女たちにもおすすめしたいところです。

ー何かと遠征の多いお二人でも、肌身離さず使っていただけそうで嬉しい限りです。

前田: 旅先で手放したくないのはもちろんですし、普段使いにも最適ですね。なんだかんだで週5,6日は銭湯に出かけているので、カバンに必ず忍ばせておきたい一品です。

橋本: 透明のフレームも使いやすくていいですし、今後は黒とか、カラーバリエーションが豊富になってくると嬉しいですね。値段もリーズナブルなので、複数持ちで用途や気分に合わせて使い分けたいところです。雨の日のランニングに使うのなんかにも良さそうですね。あ、お風呂意外は使っちゃダメなんですよね??(笑)

PROFILE
橋本 塁 はしもと るい(写真 : 左)
1976年北海道生まれ。24 歳の時ジーンズのパタンナーから突如カメラマンに転身。雑誌『ollie magazine』の社員カメラマンを経て2005年にフリーランスに。ストレイテナー、FOMARE、ONE OK ROCK、THE BAWDIES、androp 等、様々なアーティストのオフィシャルライブ、アー写等を担当。ROCK IN JAPAN Fesオフィシャルカメラマン。2006年より写真展&ライブイベント『SOUND SHOOTER』を主催。2010年からドットをコンセプトとしたブランド『STINGRAY』を立ち上げた。

前田 恭介 まえだ きょうすけ(写真 : 右)
内澤崇仁を中心に結成された4人組ロックバンド、andropのベーシスト。2009年2月に1stアルバム『anew』でデビュー。数々の映画やドラマ主題歌、CMソングを手掛けるなど楽曲の注目度は高く、ミュージック・ビデオもカンヌ国際広告祭 (フランス)、One Show(アメリカ)、Webby Awards(アメリカ)ほか国内外11のアワードで受賞するなど、その映像世界やアートワークでも 世界的な評価を得ている。映像・音響・照明が三位一体となったスペクタクルなステージ・パフォーマンスも大きな注目を集めているほか、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」「RISING SUN ROCK FESTIVAL」等、大型フェスへの参加も多い。 数々のタイアップや楽曲提供、プロデュースなども行い、そして2019年にはデビュー10周年を迎える。2021年に「Beautiful Beautiful」「Lonely」「Moonlight」と立て続けにデジタルシングルをリリースし、11月3日に新曲「「Know How」をリリースし、12月22日に約3年9ヶ月ぶりとなる6thフルアルバム「effector」をリリースする。

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